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Day: March 23, 2026

MaaSで変わる移動の未来|共創と地域交通のデジタル化

自動運転事業者・自治体担当者の目線で見ると、MaaSの本質は「アプリ導入」ではなく、運行・需要・データを回す仕組みの設計にある。国の定義でも、MaaSは複数モードを最適に組み合わせ、検索・予約・決済等を一括で行うサービスを基本としつつ、アプリ等を通じたデータ活用が進む、と整理されている。 MaaSプラットフォームの仕組みとデータ連携構造 2022年から2026年の日本では、①広域MaaS(KANSAI MaaSなど)でデジタルチケットとイベント輸送が一気に伸び、②観光MaaS(newcalなど)で予約・決済の共通化とKPI公表が進み、③地域交通(江差・春日井・弘前など)でオンデマンド/共同配車/サブスクの「運用KPI」が見える化された。 自動運転との連携は、制度面では改正道路交通法(特定自動運行の許可制度)が整備され、レベル4の社会実装が現実段階に入った。ただし、MaaSと自動運転を「サービス」として結ぶ鍵は、予約・決済と、運行情報(位置/遅延/到着予測等)APIの接続にある。 MaaSとは何か:複数交通手段の統合モデル MaaSは「便利な移動アプリ」の言い換えではない。私はTuring Driveとして各地の実証を追う中で、MaaSが本当に効く局面は、検索・予約・決済のワンストップ化そのものよりも、運行・需要・行動データを継続的に回し、供給制約(運転手不足、車両不足、ピーク需要)に合わせてサービスを作り替えられるかにある、と確信している。国土交通省の定義も、複数交通の最適組合せと「検索・予約・決済等を一括」、さらに観光・医療等の目的地サービス連携まで射程に入れている。 地域MaaS基盤におけるサービス統合とデータ活用の構造 上の図で重要なのは「統合の深さ」を設計段階で言語化することだ。①経路・時刻の検索、②予約・配車、③決済・チケッティング、④運行情報(遅延/混雑/車両位置)、⑤データ連携と改善ループ——この5層のうち、どこまでを「地域の共通基盤」として整備するのかで、調達仕様もKPIも変わる。 特に2023年改訂の「MaaS関連データの連携に関するガイドラインVer.3.0」は、予約・決済といったチケット系のデータ、リアルタイムに変化する運行情報(動的データ)を含め、MaaSの高度化にはデータ連携が不可欠だと明確にした。さらに、MaaSプラットフォーム間の連携(相互接続)の考え方も章立てで整理されており、自治体が「ベンダーロックインを避ける調達」をする際の拠り所になる。 共創MaaSプロジェクトと自治体連携の実証 国の支援事業は、日本版MaaSが「実証から実装へ」移る背中を押してきた。日本版MaaS推進・支援事業は、2019年度19件、2020年度38件、2021年度12件、2022年度6件、2023年度6件、2024年度11件、2025年度29件(2次公募で追加10件)と、フェーズごとに採択規模を変えながら継続している。さらに2025年度からは地域交通DX(MaaS2.0)として、サービス/データ/マネジメント/ビジネスプロセスを一体で進める方針が打ち出された。 日本版MaaS推進・支援事業:採択件数推移 2022年–2026年主要MaaS事例一覧 事例   実施自治体/企業 期間 PF/アプリ 導入技術(要点) 成果指標(公表値) KANSAI MaaS 関西MaaS協議会(鉄道7社で構成) 2023/9/5提供開始、万博期に拡張 KANSAI MaaS マルチモーダル探索+チケットストア+在線/駅構内連携 ユーザ数:約160万人(10月時点)、シャトルバス乗車券利用:約480万人  newcal 京浜急行電鉄株式会社、ドコモ・バイクシェア 等 KPI公表:2024年度 newcal エリアマネジメント×MaaS KPI運用 予約・決済客数:190,858人(2024年度)、登録会員:242,337人 江差MaaS(交通×買い物) 江差町(運行:町+ハイヤー)、サツドラホールディングス、未来シェア、駅探 2023/11/1〜2024/2/9 LINE/電話予約(住民向け) LINE予約+リアルタイム配車、地域ポイント/電子決済 登録221人、利用660人(566運行)、乗合率38.5% 春日井 共同配車(タクシー) 春日井市/愛知県、名古屋大学、計量計画研究所 2025/2/3〜3/14 「move!かすがい」(Web) 当日配車(リアルタイム)+予約配車(バッチ)、窓口一本化、シミュレーション 登録89人、リクエスト36件、成立3件/必要台数26→23の可能性(試算) ひろさきMaaS(サブスク) 弘前市、東日本電信電話、NTTカードソリューション、コンピュータービジネス 2025/11/1–2026/2/28 MaaSアプリ+地域通貨 QR読み取りで乗降データ自動取得、決済導線改善  […]

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